一本歯下駄を手に入れて、ワクワクドキドキしながら毎日を送っておられる一本歯下駄ビギナーの皆さん、いかがお過ごしでしょう?
フェイスブックの公開グループ「一本歯下駄クラブ」でいろんなお役立ち情報を提供していますが、いろいろとわからないこともあることでしょう。
そこで、今回は一本歯下駄に関する疑問にあれこれお答えして参ります。
ここで紹介できなかった質問等につきましてはまたメッセージやコメントでお知らせいただければありがたく存じます。
1)鼻緒がきつい
購入したままの状態は結構きつめに鼻緒がすげられているので、鼻緒に両手を入れてできるだけ力一杯引っ張って鼻緒を伸ばしましょう。履いているうちに緩んでくるものです。最初から長時間履かずに少しずつ慣らしながら様子を見てください。それでもきついという状態のままなら鼻緒を緩めましょう。長時間歩いていると足はむくみます。多少余裕を持って鼻緒をすげておくのがベターです。
下駄を履く時には必ずしも足全部を花緒に差し込むものではありません。かかとは2〜3センチ程外にはみ出してもかまいません。その方が粋な履き方と言われています。前緒に足指を軽く入れた感じで(5ミリほど余裕を持って)履いてみて、だんだんなじませてください。
2)下駄の歯の前部分が歩く際に地面に当たる
GETTAのように歯の高さが低い(10センチ未満)と下駄の先端部分が地面に当たります。外を歩いていて、交差点の信号で止まる際に不安定でグラグラするので、先端部分を路面に付けてしまいがちですが、できるならこれは避けましょう。先端部分が削れて割れる原因にもなります。
一本歯下駄とは本来グラグラ揺れるものです。立ち止まる際にもなかなか立ち止まれないものです。こういう場合には、左右いずれかの足を前に出して「休め」の姿勢を作るか、その場で足踏みすると安定します。慣れてくると両足を揃えて静止することができます。
3)下駄から足が横滑りする
歩道などの傾いた路面(歩道から車道に出るスロープ)を歩く際に下駄から足が滑ってしまうということがあります。趾(あしゆび)を使って鼻緒をしっかりつまむ感覚と、かかとが下駄の台に吸い付く感じを意識してみてください。
下駄はシューズとは異なる履き物です。足の持つ様々な機能が活かされてこそ本来の履き方ができるものということをわきまえておきたいものです。
4)歯が片減りする
普通、人の歩き方の特徴として足が外で回転しています。この際、下駄の外側が内側に比べて減りが早くなります。よって、下駄の左右それぞれにマジック等でLとRのような印をつけて定期的に左右を入れ替えて履くといいでしょう。下駄はGETTAなどをのぞき左右同じものです。片減りを避けるためにはこの方法が一番だと思われます。
5)指の股擦れが起こった
長年シューズだけで過ごしてこられた方なら尚更これは起こり得るでしょう。
指と鼻緒の前緒が擦れてしまうと水膨れができてしまいます。こうならないためにも、五本指ソックスや足袋ソックスを履くとか、擦れる部分にワセリンなどを塗っておくのがいいでしょう。毎日素足で履いていたら擦れる部分が硬くなってきます。
6)一本歯下駄に慣れるために
まずは室内で十分に慣らし運転を。運転免許を取得するために教習所に通いますが、教習所内のコースを運転する感じです。公道を走るのはある程度慣れてから…。いきなり外に出るだけの勇気とバランス感覚があればいいのですが…。
外に出ても、最初は平らでスムースな(凸凹のない)路面を歩いてください。公園など開けた場所、手すりがあるところだとなお安心。誰かそばにいてくれるといざという時サポートしてもらえるでしょうが、ひとりの場合は要注意。
斜面の下りや階段は危険を伴います。かといって恐怖で体がガチガチになると余計に転倒しやすくなります。リラックスしながら一本歯下駄を楽しんでください。
歩くだけでなく、時々ジャンプしてみたり、小走りしてみたりして一本歯下駄と足の一体感を強化しましょう。
7)転びそうになったら
一本歯下駄は前後にグラグラするものですが、転ぶ時というのは側面外側方向にグラッときた時。15センチを超える高さのある一本歯下駄ならこれは顕著です。
つまずいた時に前に転ぶこともたまにありますが、側面に転倒すると必ず足を捻って捻挫するか、運が悪ければ骨折することになります。
そうならないためにも、危ないと感じたら、足を後ろに引いて鼻緒から足を抜いてください。ちょうど足が後ろ向きに滑り台から勢いよく降りるような感じです。
それでも転んでしまう時には、体(特に上半身)」の力を抜いて、体を丸くするようにして倒れます。擦り傷程度で済むはずです。体に力が入っていると肘や肩の骨を折るとかいったことも起こり得ます。
頭の中で「転ぶかもしれない」と思っていたら大抵転んでしまうので、一本歯下駄を履く際には、楽しむということを前提に笑顔でいるのが一番ですね。
8)歯がとれたら
一本歯下駄は木でできているので温度と湿度によって膨張したり収縮したりします。湿度が低い状態で乾燥してくると、歯が抜ける場合があります。大抵抜ける前に異音がします。常に一本歯下駄を履く前に点検は必要かと思います。頻繁に一本歯下駄を履かれる方、一本歯下駄で山を登られる方は励行してください。
歯が取れた場合、はがきなどの厚紙を利用します。歯の取れた溝にまずはがきを溝に差し込み歯を入れます。歯の溝、側面、底に木工用ボンドを吹き出さぬ程度に少し多めに入れ歯を差し込みます。木槌で正しい位置に入るように叩いて調整します。
2〜3日はそれで乾燥させてください。完全に接着するまでは放置しておきましょう。
一本歯下駄は乾燥させないようにするのが賢明です。エアコンの乾燥した風が当たる場所とか、夏場の車のトランクの中とかで放置していると歯が抜けやすくなります。
9)下駄の手入れ方法は…
長期間に渡って履いていると下駄の表面にうっすら足形がついてしまいます。
白木の下駄なら紙やすりで磨いてもいいですし、洗面器に水を入れ、食用酢を数滴たらしたものをスポンジにつけて磨くというのもいいでしょう。市販のウッドオイル(透明から茶色まで各色あり)などを塗っておくという方法もあります。
ニスやラッカーは木の持つ素材感を失ってしまうので好き嫌いがありますね。
下駄の角が欠けたり傷ついたりした場合に、木工用のパテを使うという方法もあります。これは化粧でいうところのファンデーション、くぼみをパテで埋めて、それから乾燥させて紙やすりをかけます。できるだけ木の色に近いものを選ぶといいですね。
10)一本歯下駄の効用について
一本歯下駄の何がいいのか?
これは例えば、一本歯下駄を履いて歩いていて、見知らぬ方からよく質問されるのですが、自分なりに答えを用意しておくといいでしょう。一番いいのは質問された方に直接履いてもらうことです。一例をあげておきます。
・バランス感覚を磨く
一本歯下駄を履いてまず足を揃えて立ちます。すると、膝を中心として小刻みに体がブルブルと震えてきます。次に、静止することが難しくなってくると体が倒れないように思わず前後に足が動いてしまい、両手でバランスをとったりして、まるで神憑かりのように踊りでもしているような動きになってきます。これは体が自然にバランスを取ろうとして反応しているためです。人間は不安定な状態にあると重心センサーが働き出してバランスを取ろうとするのですね。一本歯下駄を履くだけで、バランス練習ができる訳です。
・リハビリ
一本歯下駄を履くと不安定な状態になり、今まで同じ箇所にかかっていた力が分散されるため、負荷が軽減されるため腰痛や膝痛など問題のある箇所周辺の筋肉も少しずつ強化されます。その後、一本歯下駄を脱いだ状態でもその部分の安定性が高まります。ただし、痛みや違和感を感じるのであればすぐに一本歯下駄を脱いでください。無理や無茶のないように安全と健康第一で。
・精神的高揚感
一本歯下駄という異形の履物により緊張感や目線の高さ、歩くことの楽しさ・面白さなど、今までにないような新鮮な感覚が気分をハイにしてくれるでしょう。姿勢も整い、リラックスと同時にリフレッシュもできます。
・メンタルトレーニング
ランナーにしてみれば、速く走るために使うというのはお勧めします。むしろ、走りのイメージをシュミレーションするのに一本歯下駄が役立ちます。一本歯を履いて歩くと体が捻れないのです。怪我や故障しない効率的な歩きや走りを身に付けるためのヒントが得られます。
・度胸をつける
昔から、一本歯下駄といえば天狗、修験者、大道芸人などが主に履くものでした。異形の履物として何よりも目立つことが一本歯下駄のミッションでもあったのでしょう。街なかで履くと注目を浴びるのは当然のこと。何事にも動じない度胸をつけるのに効果があります。好奇心旺盛な方が必ず近づいてきて話しかけてきてくれるのでコミュニケーションの手段にも役立ちます。
・魔法のフットウェア
「心は宇宙と、體(体)は大地とつながる魔法のフットウェア」
常々私はそんな風に一本歯下駄を紹介しています。単に体幹トレーニングに効果的だとか、そういったことは一本歯下駄のごく些細な一面、ココロとカラダが整うということをやはり全面的にアピールして欲しいと思います。
(その2に続きます)
*参考:
*YouTube動画リスト:一本歯下駄〜One-Tooth Geta
*一本歯下駄の購入はこちらで…
*ライター:
株式会社GETTA認定アンバサダー
「PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅」を走るアドヴェンチャー・ランナー 高繁勝彦