一本歯下駄で走るランナーが増えている。一本歯下駄で山に登るツワモノも然り。
走るにせよ山に入るにせよそれは自己責任。いつも言うことだけど安全と健康第一。怪我をしてはどうにもならない。危険回避のためにいろいろ考えておかなければならないことがある。私個人の経験からそれらをまとめてみた。
一本歯下駄登山やランニングについての記事は過去にもいくつか書いているのでぜひ読んでいただきたい。
1)一本歯下駄の安全点検
特に鼻緒は前坪をチェックしておこう。山の場合は下り、履いている途中で緩むことがあるので必要があれば締める。緩んだ状態で走っていると突然前坪から鼻緒が抜けて転倒する。休憩するごとに鼻緒の緩みは何度でもチェックして欲しい。
歩いていていつもと違う音がしたら歯が緩んできて台から抜け落ちることも考えられる。一本歯下駄は木でできているので水分の加減で乾燥すると収縮するし、水分を多く含むと膨張する。夏場のエアコンの風が当たるところや、高温状態の車の中に置いておくと乾燥して歯が抜けることも起こり得る。履く前に歯の状態も要チェック。
タイヤゴムなど歯の裏につけている場合は剥がれてきていないかどうかもチェックしよう。釘で留めている場合には釘が抜けかけていないかどうか。接着剤の場合は剥がれかけていないかどうか。剥がれたまま歩き(走り)続けてもやはり転倒する。
登りと下りで鼻緒の締め具合も加減することも試してみよう。登りでは少しタイトに。専用のストラップをしている場合はあまりキツく締めると転倒時に捻挫や骨折も起こる。下りでは前坪に指の股が当たると水膨れができることもあり得る。程よい加減は自分の感覚で決めればいい。
2)路面に注意
登山ではやはり下りが危険を伴う。砂利のあるところでは歯が大きめの砂利に乗り上げるとスリップ転倒しかねない。枯葉があるところでは葉っぱで滑るケースもある。コケのある場所や濡れた路面も要注意。下りでペースアップすることでさらなる危険を招くことも多々ある。
とにかく平らでスムースなところが少ないのが山。アスファルトのような歩きやすい場所は基本的にはないと思っておこう。石ころ、砂利、砂、粘土質の土、ぬかるみ、ガレ場やザレ場など危険だけはいっぱい。岩場は一本歯下駄にとって最も危険なところゆえにお勧めしない。
いろんな路面に対応できるテクニックも必要だが、何よりも足首サスペンションと足の裏センサーをフルに活かすこと。足首の硬い人は転倒しやすい。足の裏が鈍感な人は危険を察知するのが遅れてしまう。やはり経験を積むことでいろんな路面に対応できるようになるのだろう。
*足首サスペンションと足の裏センサーについては過去記事を参考に
3)危険回避のために
怪我や故障が起きてしまった際、一本歯下駄を途中で脱ぐことも選択肢に入れておく必要があるということ。そのためにシューズやサンダルは持参しておきたい。転倒して怪我をすることも念頭に入れるならファーストエイドキットは必要。山では救急車もすぐには来てくれない。下山するまでは自力で移動するのが当たり前だと思っておこう。
経験の少ない方には、それこそヘルメットは必需品。肘や膝にはプロテクター装着。手袋(軍手でもゴム手袋でもOK)をすることで手の怪我を防ぐこともできる。
ポールを使えばよりバランスよく歩けるであろう。ただ、使い方を誤ると逆効果。
武勇伝を作りたくて無理や無茶をすると取り返しのつかない状況にもなりかねない。何が危険なのかを判断できる能力があってこそリスクマネジメント。特に一本歯下駄登山の場合は身の丈に合った行動が求められる。
山の知識や登山時の基本的なマナーやルールを知らずに山に入るのは避けよう。一本歯下駄のイメージが悪くなるばかりか当人の人間性を疑われるようなことは絶対にしないで欲しい。
4)おわりに:楽しんでこそ一本歯下駄
あれこれ厳しいことも書かせていただいたが、最終的にはまず自分が楽しむこと。同時に周りにいる人たちにも一本歯下駄の楽しさや面白さを伝えられれば言うことなし。
一本歯下駄によるランニングや登山はまだ未知の要素が多々あって、未開の分野のスポーツと言ってもいい。
自らがパイオニアとして責任ある態度で取り組むのはもちろんのこと。一本歯下駄でフルマラソンやウルトラマラソンに参加するのも自己責任と自己満足の世界。一本歯下駄での出走が禁止されている大会ならやめていただきたい。
繰り返すが、何よりも安全と健康第一。事故や怪我をすることなく、心と体の健康維持に一本歯下駄をフルに活用しよう!
*参考:
*その他の記事一覧はこちら
*YouTube動画リスト:一本歯下駄〜One-Tooth Geta
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*ライター:
株式会社GETTA認定アンバサダー
「PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅」を走るアドヴェンチャー・ランナー 高繁勝彦
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