探検の世界では、この地球上で人跡未踏の地というのはもはやないと言われている。アマゾンの奥地であったり、ヒマラヤの辺境の地であったりしても、必ず誰かが過去にそこを何らかの手段で足を踏み入れている。
だが、しかし…一本歯下駄でまだ誰も訪ねたことのない場所はいくらでもある(笑)。
一本歯下駄で入れない場所というのは実際にいくらでもあるに違いない。個人的に一本歯下駄で足を踏み入れたくない場所も然り。
街を歩いていてしばしば出くわす歩道の黄色い点字ブロックなどは、一本歯下駄を履き始めて間もない方には、できるものなら避けて通りたい所であるだろう。
一本歯下駄を履き始めて7年目、まだまだ修行中の身ではあるが、一本歯下駄で山に入り、一本歯下駄でいろんな場所に足を踏み入れるようにしているものの、望むところは、一本歯下駄であらゆる路面をシューズと同じように歩いたり走ったりすること。
一本歯下駄でスケボーをやったり、一本歯下駄でスキーをしたりとかそんなチャレンジでなくていい。
単に、一本歯下駄で山に入るだけでも十分なのかも知れないが、今日はかねてからやってみたかった一本歯下駄での石畳ランにトライしてみた。
その動画がこちら…
これまでにも何度かふれてきた「足首サスペンション」と「足の裏センサー」の精度が問われる路面。気を抜くと足首を捻って転倒しかねない。それだけにスリリングである。
ちなみに使用している一本歯下駄はARUCUTOのスキャッパ(全高約10センチ)の歯の裏にタイヤゴム(パナレーサースーパーハード)を装着。足首と足の甲には一本歯下駄専用ストラップを装着。
動画のスローモーションで見ればよく分かるが、石畳の石の丸みのある部分に一本歯下駄の歯が乗り上げ、足首が左右いずれかに傾く瞬間…
足首の関節の硬い人ならここでバランスを崩す。
そうならないために何が必要か…?
路面に一本歯下駄の歯が着地する瞬間とほぼ同時に、足の裏センサーが路面の状況をキャッチ。さらに、その瞬間に足首サスペンションは路面からの衝撃を吸収して全身を水平に保とうとする。
この時、足首だけでなく、膝や腰を含めた全身の関節や筋肉が連動して、バランスを保ちながら(=重心を安定させながら)前へ前へと体を移動させていく。
重力に逆らうことなく重心を前へ進めようとする力が生み出される。
トレイルを走る際に、路面の凸凹に気を取られっぱなしだと転倒する。
高速で山を下りたければ目で走るコースの路面を追いながら、次の一歩を着地させるポイントを決めていかなければならない。
ちょっとした突起物でつまずいたりすればバランスを崩し転倒することも十分起こり得る。しなやかな足首と柔軟性を持った体が必要になる。
いざ転びそうになっても、転ぶ手前の瞬間に飛び上がって、空中で体制を整えて着地すればいい。
転ばぬ先の杖ならぬジャンプである。
一本歯下駄で山を走っていたらそういったことも実際可能になってきた。
1300年前の修験者たちは、そういったことを密かに楽しんでいたのだろう。
誰も見てないところで、「どうだい、俺ってこんなこともできるんだぜ」とひとりほくそ笑む修験者もいたかも知れない。
*YouTube動画リスト:一本歯下駄〜One-Tooth Geta
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*ライター:
株式会社GETTA認定アンバサダー
「PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅」を走るアドヴェンチャー・ランナー 高繁勝彦
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