時々、一本歯下駄で電車に乗ってやっていることがある。
揺れる電車の中で吊革も手すりも持たずに立ったまま、体全体で揺れを吸収する。危険を伴うので、いつでも吊革や手すりに手が届くところでやってみて欲しい。周りの人の迷惑にならないようにするのは一番大事。
一本歯下駄そのものが不安定なものであるのに、さらにそれに揺さぶりをかけるかのようなアクション。実は、これはトレイルなどのオフロードで歩く場面と状況は同じ。小石やがれ場、木の切り株などがある凸凹路面で、足の裏センサーをフルに活用し、足首サスペンションの性能を知るには最も手軽な方法。
次に、一本歯下駄を履いて駅のホームに立ち、ホームに入ってくる電車を目で追ってみよう。
目は停まっているものを見て水平バランスを保とうとする。その際に「これが水平だ」という情報を脳に送るのだろうが、動いているものを見ると水平レベルがわからなくなってしまって脳が混乱を起こし、バランスを崩してしまう。
これは目をつぶって歩いてみても真っすぐ歩けないのと同じ。水平である基準となるものが目に入らなければ人はまっすぐ立つのも困難をきたすのだ。
たとえばトレイルを走っていて転びやすい人は、走りながら上体(特に頭)がブレてしまう傾向にあるのではないかと思う。臍下丹田に意識を置いて頭がブレないように軸を安定させる(頭と上体が腰の上に乗っかっている)感覚を持つことが求められる。
街を歩いていても、常に進行方向の一点を目で追いながら体の軸をブレさせることなく前進していくのが理想。
一本歯下駄で縄跳びをする際にも上下に体が揺れるため、同様に体の軸を安定させながら一点に視線を集中させてみよう。
剣道を長年やってきた経験から、効率の良い体の動きについてはいつも考えているのだけれど、前後左右どの方向に進む時にも自然体を保ちながら水平に重心を移動させるということは日常生活でも大切なこと。
(足の指と足の裏についてはあらためてまたまとめてみよう)
たとえば、街を歩いていて、不意にぶつかってきそうになる人や自転車や車を体をかわして避けるということも場合によってはあり得るシチュエーション。そんな時に、「危ない!」とか「怖い!」と思うと体(特に上半身)がフリーズして足が停まってしまうもの。
体をいつもニュートラル(中立)の状態にしておくと、いざという時に咄嗟(とっさ)の動きができるもの。
次の動きに備えるということは何かを警戒する訳ではない。心と体が張り詰めた状態では何もできなくなる。だから、遊び心というか、ちょっとした心の余裕があれば体もリラックスできて、思い通りのパフォーマンスが実現できるのではなかろうか。
一本歯下駄はそんな不動の心と姿勢を教えてくれる。
やはり、一本歯下駄は魔法のフットウェア(履物)なのである。
*参考
*一本歯下駄の購入はこちらで…