一本歯下駄はご存知のように一枚の歯で立つように作られている。歯の高さや厚さは様々あるが、基本的な原理は同じ。
一本歯下駄で、凸凹のない平らで滑らかなフロアに立つ場合は何ら問題はないのだが、仮にパチンコ玉や小石の上、あるいは木の幹などの上に一本歯下駄で立つとしたらどうなるだろう…?
一本歯下駄で不整地を歩く際に、不整地は必ずしも平らではないし、凸凹があるのが当たり前。
ARUCUTOが作っている一点歯下駄KOJIROは歯の面が半球状になっている。動画を見ていただくとよく分かるが、平らなフロアに置くと下駄の台がグラグラ360度方向に揺れる。
凸凹のある不整地に足を踏み入れるというのは結局のところこういうことなのだ。
数年前に、一本歯下駄工房「げ太郎」さんに作ってもらった先細り一本歯下駄はまさにこれと同じ原理だが、KOJIROよりも難易度が高い。
結論を先に言うならば、一本歯下駄の歯の「面」で地面に立つのではなく、(気持ちの上では)常に「点」で立っているという意識が必要なのだ。
足の裏センサーが発達した人は、一本歯下駄の歯や自分自身の足の裏が地面に接した瞬間にその状況をいち早くキャッチし、続いてその情報を足首サスペンションが感知すれば、全身で水平ラインを判断することができるようになる。
サーカスで玉乗りをするようなバランス感覚の良い人というのは、上に説明したことを頭で考えるのではなく、体で感じられる人のことを言うのだろう。
上記二つの動画、砂利道やザレ場を一本歯下駄で移動するのも同じ原理だ。
丸い石を敷き詰めたところを素早く駆け抜ける…これも一本歯下駄の歯の「面」ではなく「点」で路面を捉えるという動作の連続に過ぎない。
一本歯下駄を履き始めた頃はなかなか凸凹道なんて怖くて歩けない…と思って避けがちなのだが、ある程度慣れてきた頃に、歩道の黄色い点字ブロックの上なんか歩いてみるといい。グラグラ感を意図的に楽しめるようになってくると一本歯下駄がさらに面白くなってくるし、そこから山に入ってトレイルを早駆けするようなモダン修験者になっていくのであろう(笑)。
全身をリラックス。足首を柔らかく、できるなら拇趾球に意識を置いて、臍下丹田に心持ち力を集める感覚…お尻の穴がキュッと萎むようにして歩いてみる。
私自身は少し膝を曲げ、重心を幾分低くして移動している。こうすると、無理に地面を蹴らずに腰から下、膝や足首、趾(あしゆび)だけでスムースに進んでいけるはず。
*YouTube動画リスト:一本歯下駄〜One-Tooth Geta
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*ライター:
株式会社GETTA認定アンバサダー
「PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅」を走るアドヴェンチャー・ランナー 高繁勝彦