一本歯下駄に関していろんな質問や相談をお受けしていますが、最近複数の方から頂いた質問はというと…
「一本歯下駄の標準的な高さというのはあるんですか?」
標準的というのを誰が決めるのかわかりませんが、いろんな人が一本歯下駄を楽しんでおられるのをSNSでチェックする限り、推定10〜15センチあたりの高さが一番多いように感じています。
というのも、私の経験上15センチを超える高さは街歩きするのにいろんな危険を伴うからです。
よほどの一本歯下駄マスターや達人レベルの方なら18センチとか20センチも大丈夫でしょう。
ただ、電車に乗ったりすると扉の上の部分で頭を打ったり、お店の玄関ドアも屈まないと入れなかったり、不便極まりない点も多々あります。
ちなみにARUCUTOの製品をチェックしてみると、
GETTAとKOJIROは約3.8センチ、TSUNEは約10.5センチ、GETTAプレミアム4.5センチ、MUSASHI12.5センチ、スキャッパとヨガは9.5センチ(いずれも販売されている状態=ソフトゴムつき)
こちらで扱っているNANTANは7〜15センチ。もちろん、歯の裏にタイヤゴムなどを貼り付けるとさらに高さは増します。
高ければ高いほどいいという訳ではありません。
これは高層ビルのたとえでお話しましょう。
「高い一本歯下駄にはどんなメリットがあるんですか?」
「高さが変わると違うんですか?」
3階建てビルの屋上と10階建てビルの屋上、地震が揺った時にどちらが激しく揺れるでしょうか?
横揺れがある場合、1階が震度1であったとしても、ビルの屋上はそれよりも激しく揺れます。
当然3階よりは10階の方が激しく揺れますよね。
結論から言いますと、揺れ幅があるということです。
高さ4センチの下駄よりは10センチの下駄の方が突起物に乗り上げた時に大きく揺れるということ。
揺れに対応できる(=揺れを吸収できる足首サスペンションがある、マシュマロ筋が発達している)のであれば何ら問題ありませんが、ビギナーの方が、いきなり高さのある一本歯下駄を履いて転倒する確率は高さと共に比例するということです。
こういった不安定さから来る問題に対して、一本歯下駄を作る側はある対策を考えてくれました。
それは何かというと、歯の形です。前後いずれから見てもいいのですが、真四角ではなく裾広がりの台形型。上は台の幅そのままですが、下を台の幅よりも少し広くしてあるのです。不安定になるのは横揺れ。だから、接地面を台の幅よりも広くして安定させようという訳です。
ある程度、一本歯下駄に慣れてくるとどうしても高さのある一本歯下駄を履いて(高みを目指して)みたくなります。これは自然なことで、山に登る人が、近隣の低山から始まり、やがては2000〜3000m級の日本アルプス、さらには海外の7000〜8000m峰を目指したくなるのと同じことなのでしょう。
しかし、平らな凸凹のない舗装路ばかり歩いている方には、まず不整地をある程度自由自在に歩けるようにトレーニングを積んでおく必要はあるでしょう。
先ほども書いたように、高さに伴って揺れ幅が増えてくるというのは、言い換えるなら、一本歯下駄の歯が路面のほんのわずかの突起物に乗り上げただけで大きく揺れる訳ですから、低い一本歯下駄であっても、山のトレイルなど不整地で足慣らしをしておくことは十分意味のあることなのです。
小さな揺れ幅をできるだけ頻繁に経験しておくことで、やがて大きな揺れ幅にも対応できるようになるはずです。
一本歯下駄を履いていることをあまり悟られたくない、密かに一本歯下駄を楽しみたいという方は7センチ程度の高さのものがお勧め。
10センチ未満の高さのものは、遠目で見ても一本歯下駄であるというのがわかりにくいのは確かですが、高さ15センチくらいになると、人とすれ違い様必ずと言っていいほど振り返りぎわにガン見されるはず。
雨の日の一本歯下駄の外歩きはあまりお勧めできませんが、雨の日のメリットとして、足元がほとんど濡れないということが挙げられます。
ただし、高さのある一本歯下駄限定。
水たまりも難なくクリア。路面に当たって跳ね返ってくる水滴も寄せ付けません。傘をさしていれば足元は常にドライです。ただし、コンビニなどのツルツルの路面でスリップするということは覚悟しておかなくてはなりません。
*お断りしておきますが、ここに書いたことはあくまで一本歯下駄アンバサダーの私の個人的な感覚に基づいています。最初から高さのある一本歯下駄を履くなという訳ではありません。
*一本歯下駄に関して、皆さんの疑問にお答えしたり、ご相談をお受けしたりしています。コメントやメッセージでお願い致します。
*YouTube動画リスト:一本歯下駄〜One-Tooth Geta
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*ライター:株式会社GETTA認定アンバサダー
「PEACE RUN世界五大陸4万キロランニングの旅」を走るアドヴェンチャー・ランナー 高繁勝彦