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寺地拳四朗選手対矢吹正道選手世界タイトルマッチ

寺地拳四朗選手対矢吹正道選手世界タイトルマッチ

※今回の記事は個人的な感想です。団体や所属先などとは関係ありません。またここで書いた見解も個人的な感想になります。

寺地拳四朗選手は2016年11月から久田選手とトレーニングを開始した時の最初に対戦予定だった相手であり、2021年4月24日の世界タイトルマッチの対戦相手です。

対する矢吹選手ですがはじめて意識したのは2018年4月15日板垣選手との日本タイトルマッチの防衛戦後です。久田選手とトレーニングを開始した際のパンチ測定数値が右360、左420だったのが左右ともに650と1、5倍のパワーになった頃でした。断トツで強くなれば負けないと思っていたときのどんな形でもチャンピオンになるんだという覚悟できた板垣判定での辛勝。その時に試合後ランカー外の中で「オレと戦え」とSNS上で声を上げていたの矢吹選手でした。

2018年11月16日戸谷彰宏選手と防衛戦を行った時もその対戦相手の戸谷選手とスパーリングをもっともしていた印象があり試合後に戸谷選手がくも膜下出血で引退することとなった際に、意志を継ぐ選手として勝手に矢吹選手には思い入れがありました。

その2人の世界タイトルマッチ。日数が近づくにつれこちらも緊張がたかぶります。

先ずこの試合で最も焦点が当たることっとなったジャッジについてですが、日本人世界王者の試合において国内ジャッジは皆さんがいうように特殊だと捉えています。

この特殊さについて個人的に感じている見解は「チャレンジャーが自分の良さ、準備通りのことを実行してもその王者らしさが支持される」という王者らしさというラベリングが基準の上でジャッジが行われやすいということです。

例えの例で書くと井岡選手であれば「相手のパンチを受け流す技術」が王者らしさとして評価され、その評価がある上でそのらしさが試合で出ていれば、ジャッジにはチャレンジャーがどんだけアグレッシブに攻めようとも王者の掌握内にあるようにみられやすいというイメージです。

特に前半のラウンドに関しては王者に紐付けされているラベリングが基準になりやすいと思います。

ラベリングの上でのらしさは、多くが王者に優位に働きやすいですが、今回の試合のようにジャッジから今日は王者のコンディションがイマイチだな、いつものらしさがないなという時はそのラベリングがマイナスに働くこともありえるかと思います。それは王者に対する戦前のジャッジからの評価が高ければ高いほど逆に起こりやすい事かもしれません。

久田選手と拳四朗選手での試合においても実は入り方において、王者の本来のらしさがないなとジャッジや観衆に思ってもらう仕掛けをいくつかしています。

例えば拳四朗選手は、試合開始時グローブを合わせたのちに1、2、3、4とリズムステップをして相手の呼吸リズムと自分を一体化させ、阿吽の呼吸を自分のものにしてから試合に入ります。先ずその時間を開始すぐにステップの間をなくして撃ち込むことで拳四朗選手の動きの美しさをの原点を削いでいきます。

これと並行して拳四朗選手に空間認識をずらして身体を硬直させるために開始ゴングと共に近づく際になんばの動きを取り入れました。これらをすることで拳四朗選手に本来には彼にはない硬さをつくり、ジャッジや観衆に今日の拳四朗選手は硬さがあるなという印象を持たせ、ジャッジにおける王者のらしさで評価するラベリングの寄りを外していきます。

これによってラベリングとして王者の調子が悪い、動きが固いという印象を与え、久田選手の良さも評価対象として対等にみられていたと思います。

拳四朗選手がすべき事を成せば優位に進めれる環境から、対等にそれぞれの良さが評価される場をいかにつくるかをしていました。

今回に試合についても拳四朗選手らしさでポイントになって、本来有利なものがジャッジからはその水準に達していないという判断がなされていた可能性はあると思います。

それについて先ずはジャブとステップから書いていきたいと思います。

拳四朗選手のジャブは強弱をはじめ細かな種類があります。それでも共通して中心となる身体操作は、

筋肉よりもステップ生まれるエネルギーをパワーにすること

骨盤を無駄に動かさず、仙腸関節の動きを引き出し、それによって体幹を左右それぞれ上下にスプリットさせて割り、そこから後ろ足が地面反力をもらう中で後ろ足で蹴ると右腕の引く作用を絶妙なタイミングで一途させることにあります。

これにより、お腹にあるエネルギーが発射されるようにノーモーションで撃つことと、身体の傾きの角度により、リーチ以上の長い射程距離を生み出す両義性を実現しています。

拳四朗選手の斜めの角度がつき、ノーモーションの上で伸びがあり体重が乗るパンチは歴代のボクサーでもトップに位置する質かと思います。

このように、拳四朗のジャブの真骨頂は小刻みな高速ステップから生まれるエネルギーを後ろ足をトリガーにお腹から沸き上がるようにはなたれるところにあります。

これによって腕はノーモーションでありながら体重はどの選手のパンチよりもしっかりと乗り、パンチを撃つというよりも相手の顔を軽く触れる感じで出すだけで強いパンチが発せられます。

この質に高いジャブが後述するステップの消失により、どちらかというと全身よりも肩甲骨からはなつ感覚よりになり、ジャブの伸びがなく、当たりがいつもより浅いという印象をジャッジは感じたかもしれません。

何よりこれまでの拳四朗選手のジャブにあった全身の連動性からなる美しさがみられず見栄えをわるくしていました。

ジャブは当たっているものの伸びが弱く、美しさが消失していた印象です。

また、ジャッジのポイントについてですがこれまで拳四朗選手がらしさとしてポイント評価をされていたのはジャブ+間合いの掌握ではないかと思います。ジャブだけの評価だけではなかったはずです。

今回、距離感はありましたが間合いの掌握はなかったように思います。

距離感と間合いの掌握は同じようで全くの別物ですが、距離感の話だけになっているように感じました。

距離感は形だけの距離。間合いは阿吽の呼吸や相手との身体の一体化など型としての距離です。

拳四朗選手のステップが間合いの掌握ができない質になっていて距離感だけがただ残っているような状況だったのが気がかりです。

拳四朗選手優位をつくる一番の武器である間合いの掌握が消え、矢吹選手も持ち合わせている距離感だけでの勝負、ある意味これまでの対戦相手にしていた優位性を消したままの試合になっていました。

続く
(また加執していきます)

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