◀ トレイル・ウルトラ大図鑑 HAGI OKAN ─ YAMAGUCHI
幕末の道を、歩き通す。

萩往還マラニック

THE OLD ROAD OF SAMURAI ─ MAY
山口県萩市・山口市・防府市。幕末の志士たちが行き来した萩往還という古道を舞台に、140km・250kmといった超長距離を進む。競技というより「マラニック」——走ることと旅することの中間にある行為として設計されており、参加者は自らの足で山口の山と海を渡る。国内でもっとも過酷な部類に入る市民大会のひとつだ。
山口県 萩・山口・防府例年 4〜5月250km/140km ほか超長距離・古道・複数夜
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萩往還マラニックとは

要点の要約

萩往還マラニックは、山口県の萩市・山口市・防府市を結ぶ古道「萩往還」を舞台に、例年4〜5月に開催される超長距離の大会である。250km・140kmなど複数の距離設定がある。

特徴は競技観そのものにある。「マラニック」とは、走ることと旅することの中間を指す言葉だ。この大会では速さを競うより、自分の足で道を渡り切ることに価値が置かれる。250kmの部では複数の夜を越えることになり、睡眠管理が最大の課題になる。幕末の志士たちが行き来した道を、自分の脚でたどる行為である。

BASIC INFO

基本情報OVERVIEW

⚠ 開催日・距離・定員・参加費・制限時間・関門・必携装備・コースは年度によって変わります。とくにこの分野は必携装備が直前に更新されることがあります。エントリー前に必ず大会公式サイトで最新の要項をご確認ください。
項目内容
開催地山口県 萩市・山口市・防府市
開催時期例年 4〜5月※正確な開催日は公式で要確認
距離250km/140km ほか※種目は年度により変更
性格マラニック。走ることと旅することの中間として設計されている
夜間250kmの部では複数の夜を越える。睡眠管理が課題
関門複数設定※時刻は公式で要確認
アクセスJR山陽新幹線・新山口駅ほか※発着地点は公式で要確認
THE COURSE

古道を、渡り切るTHE OLD ROAD OF SAMURAI

萩往還は、日本海側の萩と瀬戸内側の防府を結ぶ道だ。本州を横断するという行為が、そのままコースになっている。

石畳と峠

古道には石畳の残る区間や峠越えが含まれる。舗装路だけの100kmとは、足への負担がまったく違う。特に長時間経過後の石畳は、疲れた脚に厳しい。

海から海へ

日本海と瀬戸内海。二つの海を自分の脚で結ぶという体験は、この大会でしか得られない。景色が変わることが、長い時間を支えてくれる。

複数の夜

250kmの部では、二晩以上を越えることになる。眠気は必ず来る。仮眠を計画に織り込むか否かを事前に決めておく必要がある。具体的なコース・関門は年度により変わるため公式で確認を。

RACE STRATEGY

超長距離の時間設計眠気と、足の皮膚を管理する

250kmでは、走力よりも眠気とトラブル対処が完走を決める。

速度
速く走らない。この距離では、走り続けられる速度そのものが遅い。歩きを最初から計画に入れる。
睡眠
方針を事前に決める。仮眠を取るか、カフェインで乗り切るか。眠気による転倒と道迷いが最大のリスク。ふらつきを感じたら止まる。
足のケア
マメと靴擦れは必ず起きる。数十時間歩き続ければ足の皮膚は限界を迎える。予防のテーピングと、途中での靴下交換を計画に入れる。
食事
固形物を食べ続ける。ジェルだけでは数十時間もたない。エイドや店で普通の食事を摂る。胃が受け付けるものを探す。
気持ち
区切って進む。250kmを一つの塊で考えない。次のエイドまで、次の峠まで。それだけを考える。
撤退
止める勇気を持つ。この距離では無理が事故になる。判断力が落ちていると感じたら、その判断自体が危険信号。

完走までの時間の目安(140km/250km)

おおよその所要時間過ごし方の目安
140km 上位層20時間前後ほぼ止まらず一夜を越える
140km 中位層30時間前後仮眠を挟みながら進む
250km数十時間複数夜。睡眠管理が完走を決める

※ 路面・天候・累積標高・エイドでの滞在時間で大きく変わります。制限時間と各関門の時刻は大会・年度により異なるため、必ず公式で確認してください。

GEAR AND CUT-OFF

必携装備と関門この大会で特に効くところ

数十時間を屋外で過ごす。天候の変化と、足のトラブルへの備えが装備の中心になる。

  • ヘッドライトと予備電池──複数夜ぶんの点灯時間が要る
  • 替えの靴下──足の皮膚を守る最も効果的な装備
  • テーピング・ワセリン──マメと靴擦れの予防と対処
  • レインウェア・保温着──夜間の冷えと雨に備える
  • 固形の補給食──ジェルだけでは数十時間もたない
  • ドロップバッグ──着替えと靴下の中継地点を設計しておく

関門と、休息の時間配分

超長距離では、休息をどれだけ取れるかが関門との関係で決まります。仮眠を取れば関門は迫り、取らなければ判断力が落ちる。このトレードオフを事前に設計しておくことが唯一の準備です。各関門の閉鎖時刻を一覧にして携行してください。制限時間は年度により異なるため公式で確認を。

※ 必携装備・関門・エイド配置は年度により変わり、直前に更新されることもあります。必ず最新の要項をご確認ください。

HOW TO CHECK

最新の開催情報を調べる要項の読み込みが、そのまま準備になる

日程・定員・参加費・関門・必携装備は年度で変わります。とくにこの分野は必携装備が直前に変更されることもあるため、一次情報の確認が欠かせません。

① 関門時刻を一覧化する
長距離では関門が完走の可否を決める。閉鎖時刻を書き出して携行する。
② エイドの位置と内容を確認
どこで何が出るかを知れば、自前で持つ量が決まる。
③ 交通と宿を早めに
会場周辺の宿は限られることが多い。エントリーと同時に押さえる

数十時間、身体は
命令を待っていられない。

眠気で意識が途切れかけても、脚は前に出続けなければならない。そのとき身体を運んでいるのは、考えて出した指示ではない。足裏が地面を読み、腱が衝撃を返し、軸が姿勢を保つ──脳が働かなくなってもなお動くこの層が、超長距離では文字通り生命線になる。

RACE REPORTS

完走記・体験談 リンク集情報が少ない大会ほど、生の声が効く

この分野は完走記の数がロードより少なく、一本の記録が持つ価値が大きい。下のリンクからまとめてアクセスできる。

※ 上記は外部サイトの検索結果・第三者の完走記へのリンクです。掲載内容は各運営者・投稿者に帰属します。

おすすめの完走記があれば、このリンク集に個別に掲載していきます。この大会を走った記録をお持ちの方は、ぜひ教えてください。
RECOVERY

レース後の過ごし方長時間動いた身体を、戻す

長距離レースの後の身体は、フルマラソンとは比較にならないダメージを負っている。数十時間の行動は、睡眠負債と足の皮膚のダメージという特有の疲労を残す。

直後〜1時間
止まらず、汗を冷やさない。ゴール後すぐ座り込まず、ゆっくり歩いて呼吸を整える。乾いた服に着替え、上着を羽織る。水分と食べられるものを早めに口にする。
当日
食べて、温めて、早く眠る。十数時間動いた身体は消化力も落ちている。受け付けるものから少しずつ。入浴で温め、脚を高くして休む。
翌日
走らない。歩く。完全に動かないより、ゆっくり歩くほうが回復は進みやすい。強い痛みや腫れ、尿の色の異常があれば医療機関へ
数日〜数週間
焦らず戻す。100kmの疲労は数日では抜けない。呼吸と姿勢を整えることから始め、次のレースは十分に間隔を空ける。

呼吸を深め、姿勢を整えるコンディショニングには、リカバリー向けの一本歯下駄TOTONOEも活用できます。※ 体調に不安があるとき、痛みが強いときは無理をせず医療機関を受診してください。

GLOSSARY

レース用語ミニ辞典知っておくと要項が読める

累積標高D+コース全体で登った標高差の合計。トレイルやウルトラでは距離以上に負荷を左右する指標。
関門(カットオフ)CUT-OFF指定時刻までに通過できないと先へ進めない地点。長距離レースでは完走の可否がここで決まる。
必携装備MANDATORY GEAR主催者が携行を義務づける装備。レインウェア・ライト・カップ等。不備は出走不可や失格の対象になる。
パワーウォークPOWER WALK急な登りで走らずに速く歩く技術。長距離では走るより効率がよい場面が多い。
テクニカルTECHNICAL岩・木の根・急斜面など走行が難しい路面の総称。走力より足の置き方が問われる。
エイドステーションAID給水・補給・救護の拠点。長距離レースでは装備確認や休息の場にもなる。
グロスタイムGROSS号砲から計測した時間。関門の判定に使われることが多い。
DNFDID NOT FINISH完走できずにレースを終えること。長距離では珍しくなく、判断としての撤退も含む。
固有受容感覚PROPRIOCEPTION関節や筋、足裏から得る自分の身体の位置・傾き・圧の感覚。不整地では特に重要。
腱優位TENDON-DOMINANT筋で固めず腱の弾性で衝撃をいなし、次の一歩へ返す身体の使い方。
睡眠不足対応SLEEP数十時間に及ぶレースで生じる眠気への対処。仮眠・カフェイン・ペース調整で管理する。
ナイトセクションNIGHT SECTION日没後に走る区間。ヘッドライトが必須で、体温低下と眠気への備えが要る。
ドロップバッグDROP BAG事前に預けて指定地点で受け取る荷物。着替えや補給を中継地点に送れる。

※ 用語の運用は大会ごとに異なります。必ず参加する大会の要項をご確認ください。

SIGHTSEEING

大会前後に楽しむ 周辺スポット&穴場萩・山口|地図つき

萩は幕末史の街。走った道の意味を、翌日に確かめられる。

地図を読み込めない場合は、各スポットの「Googleマップで見る」からご確認ください。

定番

萩城下町
武家屋敷と土塀が残る一帯。世界文化遺産の構成資産で、平坦に歩ける。
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松下村塾・松陰神社
吉田松陰が門下生を教えた場。幕末を動かした人々の出発点。
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元乃隅神社(長門)
海へ向かって鳥居が連なる景観。少し離れるが訪ねる価値がある。
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穴場

東光寺
毛利家の菩提寺。五百基を超える石灯籠が並ぶ静かな寺。
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須佐湾・ホルンフェルス
断層が作る縞模様の断崖。日本海の造形。
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萩の魚と夏みかん
日本海の魚介と、城下町に実る夏みかん。走ったあとの食事に。
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地図を読み込めない場合は、各スポットの「Googleマップで見る」からご確認ください。

※ 各スポットの「Googleマップで見る」から地図・経路・営業情報を確認できます。山間部の施設は季節により営業状況が変わります。

BODY BUILDING

長時間を走り切る身体づくり足裏から、十万歩に耐える身体へ

足裏の質が、十数時間分積み上がる

100kmは十万歩を超える。一歩あたりのわずかなブレーキが、その回数だけ積み上がる。足裏の固有受容感覚が鋭ければ接地が最適化され、無駄な減速が減る。ウルトラでは効率の差が数時間の差になる

腱で弾めば、脚が最後まで残る

着地衝撃を筋の力で受け止め続ける走りは、フルでも脚を消耗させる。それが100kmになればどうなるか。アキレス腱やふくらはぎの腱の弾性で衝撃をいなす腱優位の身体は、同じ速度をより少ない力で維持できる。

崩れた姿勢で走り続けないために

長時間走で最も危険なのは、フォームが崩れたまま数時間走り続けることだ。骨盤から上に一本の軸が通っていれば、疲れても歩幅とピッチを保ちやすく、負担が一点に集中しない。故障の多くはここで決まる。

一本歯下駄で、一歩の質を変える

不安定な一本の歯の上に立つと、身体は足裏の感覚を研ぎ澄まし、筋で固めるのをやめて腱で微調整を始め、中心に軸を探す。走行距離を増やさずに一歩の効率を上げられるのは、ただでさえ練習量が多くなるウルトラに向けて現実的な選択肢になる。

▶ さらに詳しく:マラソン・長距離ランナーと一本歯下駄|腱弾性で走りを変える45日プロトコル腱優位システム完全解説ヒラメ筋と一本歯下駄バランストレーニングの選び方完全ガイド

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FAQ

よくある質問萩往還マラニック Q&A

萩往還マラニックとはどんな大会ですか?

山口県の萩市・山口市・防府市を結ぶ古道「萩往還」を舞台に、例年4〜5月に開催される超長距離の大会です。250km・140kmなど複数の距離設定があり、複数の夜を越えることになります。幕末の志士たちが行き来した道を自分の脚でたどる行為として設計されています。

マラニックとは何ですか?

走ること(マラソン)と旅すること(ピクニック)の中間を指す言葉です。この大会では速さを競うより、自分の足で道を渡り切ることに価値が置かれます。歩く時間も含めて計画するのが前提であり、通常のレースとは競技観が異なります。

眠気にはどう対処しますか?

250kmの部では二晩以上を越えるため、眠気は必ず来ます。仮眠を取るか、カフェインで乗り切るか、方針を事前に決めておくことが唯一の準備です。眠気による転倒と道迷いが最大のリスクなので、ふらつきを感じたら止まってください。判断力が落ちていると感じたら、その判断自体が危険信号です。

足のトラブルが心配です

数十時間歩き続ければ、マメと靴擦れはほぼ確実に起きます。予防のテーピング、ワセリン、そして途中での靴下交換を計画に入れてください。替えの靴下は、この距離では最も効果的な装備のひとつです。

補給はどうすればいいですか?

ジェルだけでは数十時間もちません。エイドや店で普通の食事を摂ることが前提になります。胃が受け付けるものを探しながら、固形物を食べ続けてください。事前の長時間走で、自分が何なら食べられるかを知っておくことが役に立ちます。

初めてでも参加できますか?

距離設定が複数あるため短い部から挑戦できますが、いずれも超長距離です。100kmのウルトラマラソンを完走した経験を積んでから検討することを強くおすすめします。

走ったあとの萩の楽しみは何ですか?

萩は幕末史の街です。世界文化遺産の萩城下町、松陰神社と松下村塾、東光寺などがあり、平坦に歩けます。日本海の魚介と夏みかんも知られています。少し足をのばせば元乃隅神社や須佐湾のホルンフェルスもあります。

一本歯下駄はこの大会の練習に役立ちますか?

役立ちます。長時間の行動では、一歩あたりのわずかな効率差がその回数だけ積み上がります。一本歯下駄は不安定な一本の歯の上でバランスを取ることで、足裏の固有受容感覚を高め、衝撃を腱でいなす動きと、ぶれない軸を同時に育てます。走行距離を増やさずに土台を育てられる点が実用的です。一本歯下駄GETTAは合同会社GETTAプランニングが開発・製造・販売しています。

一本歯下駄の使い方を直接教わることはできますか?

はい。全国230名を超える認定インストラクターが、足裏の感覚・腱で弾む動き・姿勢の軸を、一人ひとりの身体に合わせて指導しています。詳しくはインストラクターネットワークのサイト(instructor.getta.jp)をご覧ください。

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