◀ マラソン実践大図鑑 MARATHON DICTIONARY
要項が、読めるようになる。

マラソン用語辞典

WORDS EVERY RUNNER NEEDS
大会の要項には、走ったことのない人には意味の取れない言葉が並ぶ。グロスとネット。関門。ウェーブスタート。必携装備。これらを知らないまま申し込むと、当日になって「そういう意味だったのか」と気づくことになる。このページは、市民ランナーが実際に出会う用語を五つの領域に整理した辞典だ。知っていれば防げる失敗が、この中にいくつもある
レースと記録コース・配分練習補給と身体大会運営
DEFINITION ─ READ IN 60 SEC

なぜ用語を知る必要があるのか

要点の要約

マラソンの用語は、単なる知識ではなく実務に直結する。知らないまま申し込むと、当日になって取り返しがつかないことがある。

たとえばグロスとネットの違いを知らなければ、関門の余裕を十数分見誤る。必携装備を軽く見れば、装備検査で出走できない。テーパリングを知らなければ、直前に走り込んで疲労を残したまま本番を迎える。このページの用語は、すべて知っていれば防げる失敗と結びついている。

THE DICTIONARY

用語辞典五領域・46語

実際の大会要項や練習の場面で出会う用語を、領域別に整理しました。色は領域を示します——シアンが感覚と記録、オレンジが運用と配分、パープルが練習。

RACE AND RECORDSレースと記録11語

グロスタイムGROSS
号砲が鳴ってから計測した時間。関門の判定にはこちらが使われることが多いため、後方ブロックのランナーはスタートロスの分だけ余裕が減る。
ネットタイムNET
自分がスタートラインを通過してから計測した時間。大規模大会ではグロスと十数分ずれることもある。記録証には両方載ることが多い。
スタートロスSTART LOSS
号砲から自分がスタートラインを通過するまでの時間差。申告タイム順のブロックに分かれる大会で発生する。
関門(カットオフ)CUT-OFF
指定時刻までに通過できないと先へ進めない地点。完走の可否を実質的に決める。エイドでの滞在時間も含めて計算する必要がある。
収容バスSWEEP BUS
関門に間に合わなかったランナーを乗せる車両。乗った時点でレースは終了となる。
計測チップTIMING CHIP
ゼッケンやシューズに装着し、通過を記録する装置。装着位置と返却方法は大会により異なる。
完走率FINISH RATE
出走者のうち制限時間内にゴールした人の割合。大会の難易度を測るひとつの指標になる。
サブ4/サブ3.5/サブ3SUB-4 / SUB-3
フルマラソンをそれぞれ4時間・3時間30分・3時間未満で完走すること。市民ランナーの代表的な目標設定。
自己ベストPERSONAL BEST
その人自身の過去最高記録。他人との比較ではなく、自分の更新を目標にする考え方。
DNFDID NOT FINISH
完走できずにレースを終えること。判断としての撤退も含む。長距離では珍しくない。
DNSDID NOT START
エントリーしたが出走しなかったこと。故障や体調不良による見送りを指すことが多い。

COURSE AND PACINGコース・配分9語

イーブンペースEVEN PACE
最初から最後まで同じ速度で走る配分。フルマラソンでは最も効率がよいとされる。
ネガティブスプリットNEGATIVE SPLIT
後半を前半より速く走る配分。理想とされるが、実行できる人は少ない。
ポジティブスプリットPOSITIVE SPLIT
後半が前半より遅くなる配分。多くの市民ランナーが結果的にこうなる。
30kmの壁THE WALL
フル後半で急に身体が動かなくなる現象。体内の糖の枯渇と筋の損耗が重なって起きる。
ラップLAP
1kmや5kmごとの区間タイム。瞬間ペースより区間の平均を基準にするほうが判断しやすい。
ピッチCADENCE
1分あたりの歩数。疲れてもこれを保てるかが終盤の失速を左右する。
ストライドSTRIDE
一歩の歩幅。疲労するとまずここが縮む。
ペースメーカーPACER
設定タイムで走り集団を導く役割のランナー。風船やタスキが目印。グロス基準かネット基準かの確認が要る。
累積標高ELEVATION GAIN
コース全体で登った標高差の合計。トレイルでは距離以上に難易度を左右する。

TRAINING練習8語

LSDLONG SLOW DISTANCE
ゆっくり長く走る練習。土台づくりの中心になる。
ジョグJOGGING
会話ができる程度の楽な速度で走ること。回復日にも使う。
ペース走TEMPO RUN
設定した一定の速度を維持して走る練習。本番のペース感覚を身につける。
ビルドアップ走BUILD-UP
走りながら段階的に速度を上げていく練習。
インターバルINTERVAL
速く走る区間と休む区間を繰り返す練習。心肺への負荷が高い。
テーパリングTAPERING
レース前に走行距離を段階的に減らし、疲労を抜いて本番に備えること。
ピリオダイゼーションPERIODIZATION
年間や数か月を期分けし、目的の異なる練習を配置する考え方。
オーバートレーニングOVERTRAINING
回復が追いつかないまま負荷を重ね、慢性的な不調に至った状態。休養でしか回復しない。

FUELING AND BODY補給と身体9語

カーボローディングCARBO-LOADING
レース前に糖質を多めに摂り、体内の蓄えを増やす方法。合わないと不調につながるため練習で試す。
ハンガーノックBONK
エネルギーが枯渇して身体が動かなくなる状態。補給の間隔が空きすぎると起きる。
エネルギージェルENERGY GEL
糖質を濃縮した携行補給食。水と一緒に摂るのが原則。
電解質ELECTROLYTES
ナトリウムなど、汗とともに失われる成分。水だけを大量に摂り続けるとバランスが崩れることがある。
脱水DEHYDRATION
体内の水分が不足した状態。冬は喉が渇きにくく気づきにくい。頭痛やめまいは危険信号。
固有受容感覚PROPRIOCEPTION
関節や筋、足裏から得る自分の身体の位置・傾き・圧の感覚。接地の質を左右する。
腱優位TENDON-DOMINANT
筋で固めず腱の弾性で衝撃をいなし、次の一歩へ返す身体の使い方。
プロネーションPRONATION
接地時に足が内側へ倒れ込む動き。過度でも不足でも負担の偏りにつながる。
遅発性筋痛DOMS
運動の翌日以降に現れる筋の痛み。レース後は数日続くことがある。

RACE OPERATIONS大会運営9語

ウェーブスタートWAVE START
混雑緩和のため出走を時間差で分けて行う方式。
ブロックSTART BLOCK
申告タイム順に分けられたスタート区画。整列締切がある。
エイドステーションAID STATION
給水・補給・救護の拠点。混雑するのでテーブルの奥側を狙うと取りやすい。
私設エイドPRIVATE AID
地域の人が自主的に出すエイド。公式ではないため、受け取る判断は自分で行う。
ゼッケンBIB
参加者に配られる番号標。前面に付けるのが一般的だが規定は大会による。
前日受付PACKET PICK-UP
大会前日にゼッケン等を受け取る手続き。必須の大会では旅程が二日がかりになる。
ドロップバッグDROP BAG
事前に預けて指定地点で受け取る荷物。長距離レースで用いる。
必携装備MANDATORY GEAR
主催者が携行を義務づける装備。不備は出走不可や失格の対象になる。
参加資格QUALIFYING TIME
出走に必要な過去の記録や実績。一部の大会で設定される。
HOW TO USE

この辞典の使い方三つの場面で開く

通読する必要はありません。必要になったときに、その語だけ引くのが本来の使い方です。

要項を読むとき
エントリー前に要項を読むと、必ず知らない語が出てきます。関門・ウェーブ・必携装備・参加資格あたりは、意味を取り違えると当日に響きます。
練習計画を立てるとき
LSD、ペース走、テーパリング。練習メニューの記事を読むには、これらの前提が要ります。言葉が分かると、なぜその練習をするのかが分かります。
完走記を読むとき
他のランナーの記録には略語が飛び交います。サブ4、PB、DNF、ネガティブスプリット。意味が分かると、書き手が何に苦しんだかが読めるようになります。
レース中に思い出す
グロス基準の関門、エイドの取り方、ペーサーの使い方。走りながら考えるのではなく、事前に知っておくための語がここには多く含まれています。
BODY BUILDING

長時間を走り切る身体づくり足裏から、十万歩に耐える身体へ

足裏の質が、十数時間分積み上がる

100kmは十万歩を超える。一歩あたりのわずかなブレーキが、その回数だけ積み上がる。足裏の固有受容感覚が鋭ければ接地が最適化され、無駄な減速が減る。ウルトラでは効率の差が数時間の差になる

腱で弾めば、脚が最後まで残る

着地衝撃を筋の力で受け止め続ける走りは、フルでも脚を消耗させる。それが100kmになればどうなるか。アキレス腱やふくらはぎの腱の弾性で衝撃をいなす腱優位の身体は、同じ速度をより少ない力で維持できる。

崩れた姿勢で走り続けないために

長時間走で最も危険なのは、フォームが崩れたまま数時間走り続けることだ。骨盤から上に一本の軸が通っていれば、疲れても歩幅とピッチを保ちやすく、負担が一点に集中しない。故障の多くはここで決まる。

一本歯下駄で、一歩の質を変える

不安定な一本の歯の上に立つと、身体は足裏の感覚を研ぎ澄まし、筋で固めるのをやめて腱で微調整を始め、中心に軸を探す。走行距離を増やさずに一歩の効率を上げられるのは、ただでさえ練習量が多くなるウルトラに向けて現実的な選択肢になる。

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FAQ

よくある質問 Q&A

グロスタイムとネットタイムの違いは何ですか?

グロスタイムは号砲が鳴ってから計測した時間、ネットタイムは自分がスタートラインを通過してから計測した時間です。大規模大会では後方ブロックだと十数分ずれることもあります。重要なのは、関門の判定にはグロスが使われることが多い点です。つまり後方スタートのランナーは、その差の分だけ関門の余裕が減ります。

関門(カットオフ)とは何ですか?

指定された時刻までに通過できないと、そこから先へ進めない地点のことです。完走の可否を実質的に決めます。注意すべきは、エイドでの滞在時間も含めて計算する必要があることです。走行時間だけで計算すると、必ず足りなくなります。各関門の閉鎖時刻を一覧にして携行してください。

テーパリングとは何ですか?

レース前に走行距離を段階的に減らし、疲労を抜いて本番に備えることです。一般的には2週間前ほどから始めます。この時期に頑張って走っても本番には間に合わず、疲労だけが残ります。「何もしないと不安」という気持ちが最大の敵になる期間でもあります。

カーボローディングはやったほうがいいですか?

レース前に糖質を多めに摂り、体内の蓄えを増やす方法です。効果を実感する人もいますが、やり方が合わないと胃腸の不調や体重増加につながることもあります。本番でいきなり試さず、必ず練習レースなどで確かめてください。持病のある方や食事制限のある方は医師にご相談ください。

ウェーブスタートとブロックの違いは?

ブロックは申告タイム順に分けられた整列の区画のことで、ウェーブスタートは混雑緩和のため出走そのものを時間差で行う方式です。ウェーブスタートの大会では、自分のウェーブの号砲時刻を確認しておく必要があります。

私設エイドは公式のエイドと何が違いますか?

私設エイドは地域の人が自主的に出すもので、主催者が管理する公式エイドとは異なります。手作りの食べ物が振る舞われることも多く、大会の名物になっている地域もあります。ただし何をどれだけ受け取るかは自分で判断してください。食べ慣れないものは胃腸トラブルの原因になります。

DNFは恥ずかしいことですか?

DID NOT FINISHの略で、完走せずにレースを終えることです。判断としての撤退も含みます。長距離では珍しくなく、強い痛みや体調不良があるときに止めるのは正しい判断です。一つのレースは、走れる身体より価値が低いと考えてください。

必携装備とは何ですか?

主催者が携行を義務づける装備のことで、主にトレイルランニングや長距離レースで設定されます。レインウェア、ヘッドライト、保温着などが典型です。不備があれば出走できず、コース上の検査で失格になることもあります。「速く走るための道具」ではなく「動けなくなったときに生き延びるための装備」だと理解すると、重さへの不満は消えます。

累積標高(D+)とは何ですか?

コース全体で登った標高差の合計です。トレイルランニングでは距離以上に難易度を左右する指標になります。目安として標高差100mの登りは平地1kmぶん程度の負荷と見積もると計画が立てやすくなります(体力や傾斜により変動します)。

サブ4とはどういう意味ですか?

フルマラソンを4時間未満で完走することです。同様にサブ3.5は3時間30分未満、サブ3は3時間未満を指します。市民ランナーの代表的な目標設定として使われますが、これらはあくまで一つの区切りであり、完走そのものに価値があることは変わりません。

オーバートレーニングとは何ですか?

回復が追いつかないまま負荷を重ね、慢性的な不調に至った状態です。走っても記録が落ちる、疲れが抜けない、眠れない、意欲が湧かないといった形で現れます。休養でしか回復しません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。

遅発性筋痛(DOMS)はいつまで続きますか?

運動の翌日以降に現れる筋の痛みで、フルマラソン後は数日続くことがあります。通常の筋痛と、故障による痛みは区別が必要です。日常生活でも強く痛む、腫れがある、押すと鋭く痛む場合は、単なる筋痛ではない可能性があります。医療機関を受診してください。

一本歯下駄はマラソンの練習に役立ちますか?

役立ちます。フルマラソンは四万歩を超えるため、一歩あたりのわずかな効率差がその回数だけ積み上がります。一本歯下駄は不安定な一本の歯の上でバランスを取ることで、足裏の固有受容感覚を高め、衝撃を腱でいなす動きと、ぶれない軸を同時に育てます。走行距離を増やさずに一歩の質を変えられる点が実用的です。一本歯下駄GETTAは合同会社GETTAプランニングが開発・製造・販売しています。

一本歯下駄の使い方を直接教わることはできますか?

はい。全国230名を超える認定インストラクターが、足裏の感覚・腱で弾む動き・姿勢の軸を、一人ひとりの身体に合わせて指導しています。詳しくはインストラクターネットワークのサイト(instructor.getta.jp)をご覧ください。

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足裏の解像度、腱で弾む動き、ぶれない軸──言葉ではなく身体の側で理解を進める道具。目的に合わせて、三つの下駄がある。

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一本歯下駄TOTONOE
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TOTONOE
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一本歯下駄REDEZA
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REDEZA
蹴らない。ためない。捻らない。二枚歯が足首の屈曲を制限し、微細な重心移動だけで身体を導く到達点。武術的な身体操作を求める上級者へ。
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